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多職種連携情報共有システム
「バイタルリンク」

CASE STUDY
医療法人潤和会 札幌ひばりが丘病院( 北海道札幌市)
北広島在宅ケアクリニック 活き粋( 北海道北広島市)

機能強化型
在宅療養支援病院・診療所において多職種をつなぐ「バイタルリンク」

札幌ひばりが丘病院では、在宅医療における多職種間での患者情報の共有を目的に、帝人ファーマが販売する、多職種連携情報共有システム「バイタルリンク」を導入した。導入によりどのような効果がもたらされ、ケアの質がどのように向上したのか。札幌ひばりが丘病院と連携先である北広島在宅ケアクリニック活き粋に運用実態を聞いた。

在宅ケアをサポートする多職種間での患者情報共有システム

 札幌ひばりが丘病院(176床)は、地域包括ケア病棟(39床)、緩和ケア病棟(35床)を運用するとともに、機能強化型在宅療養支援病院として在宅医療に力を注いでいる。地域の病院、診療所と連携し、急性期から慢性期、在宅医療までをカバーするだけでなく、訪問看護ステーション等との緊密な協力体制を通じて、実効的な地域包括ケアシステムの構築を目指している。

 2014年に地域医療支援センターを開設し、急性期から在宅復帰に至るまで切れ目なく患者を支援してきた。緊急時等には、主治医から往診当番医へ連絡が入ることで、24時間365日、往診可能な体制を確立しているが、往診当番医には連携先である院外の医師も含まれているため、時間や場所の制約を受けることなく、患者情報の閲覧・共有を可能とするシステムは不可欠だった。

 同院の理事長、院長をつとめる髙橋大賀氏は次のように言う。
 「患者様に関わる最新のケア内容や、ご家族等とのやり取りに関する情報が得られれば、主治医でない往診当番医でも、より適切な診療が可能になります。素早く簡単に必要な情報にアクセスできる仕組みづくりが必要でした」。

札幌ひばりが丘病院 理事長・院長の髙橋大賀氏(中央)、看護主任の中川啓美氏(左)、総務課係長の芥川司氏(右)
札幌ひばりが丘病院 理事長・院長の髙橋大賀氏(中央)、看護主任の中川啓美氏(左)、総務課係長の芥川司氏(右)。

 バイタルリンクは、医師や看護師、薬剤師など在宅ケアに関わるスタッフが、スマートフォンやタブレット端末から、患者の情報をいつでもどこでも閲覧・共有ができるシステムだ。

連絡帳機能では、訪問時に気になった点の入力や患部写真等の共有ができ、SNSのように手軽にコミュニケーションをとることができる。

 「バイタルデータ管理機能」は、体温、血圧、脈拍などの測定データを簡単に共有でき、自動でグラフ化される機能である。NFC対応の医療機器と携帯端末を利用すれば、データの自動読み取りができるため、誤入力の防止が可能となる。「連絡帳機能」は他のスタッフに伝えたい点などを書き込んで共有する機能で、関係者間だけのクローズドな環境下で、やり取りを行うことができる。また、処方薬を管理する「おくすり情報機能」やケア計画を管理する「カレンダー機能」を備えている。セキュリティ面では、厚生労働省のガイドラインに準拠した二要素認証(「電子証明書」+「ID・パスワード」)と、SSL/TLS通信による暗号化により情報を管理しているため、安心して利用することができる。

みんなで見守ることが素早く確実な対応を可能にする

 同院では2016年3月よりバイタルリンクの運用が開始された。現在は医師4人と連携先クリニックの医師1人、在宅医療担当の看護師と同法人内の訪問看護ステーションの看護師など計10人が利用している。患者訪問時に、医師は診察内容、看護師は看護所見を入力し、連絡帳機能で最新のケア内容を多職種間で共有している。

 「患者様を様々な情報を通じて見守ることで、病状悪化を的確に把握し、急性増悪時にも迅速で適切な対応を行えます。多職種が入力したバイタルデータは、グラフ化により状態の推移が分かるので、看取りにあたって主治医でなくとも十分な対応が可能になります。また、身体の状態だけでなく心理状態やご家族、住居に関する情報も得られるので、医療と介護を含めたより総合的な在宅ケアが提供できます」(髙橋氏)。

 同院の看護主任、中川啓美氏は次のように感想を述べた。
 「スマートフォンで、いつでもどこでも多職種からのメッセージやケア情報を確認できるので、往診、入院手続きなどの準備が迅速に行えます。診療方針や手続きについての相談の電話も減り、ご家族や患者さんの安心感にもつながっていると感じています。日々の業務の中では、褥瘡などの患部の写真を撮り、その場で共有できる点も便利ですね。業務効率も向上しました」。

バイタルデータ
多職種が入力した患者のバイタルデータは一元管理され、その推移を見ることができる。
リアルタイムにパソコンやスマート端末で閲覧可能
計測したバイタルデータはグラフ化され、リアルタイムにパソコンやスマート端末で閲覧可能。バイタルの低下で増悪の予兆を把握できるという。

 また、バイタルリンク導入にあたって、同院総務課係長の芥川司氏は次のように言う。
 「帝人ファーマによる使用方法の説明会や専任担当者によるサポートにより、スムーズに導入ができました。クラウド型のサービスなので、導入後のシステムの管理にもほとんど手間がかかっていません。また地域医療介護総合確保基金の利用により導入時のコスト負担も小さくすみました」。

多職種の連携強化でケアの質を向上させる

北広島在宅ケアクリニック 活き粋 院長の田中孝直氏。

 北広島在宅ケアクリニック 活き粋は機能強化型在宅療養支援診療所として札幌ひばりが丘病院と連携している。院長の田中孝直氏は在宅療養患者が住み慣れた場所でいきいきと過ごしてもらうために、「寄り添う」医療を実践している。

 「往診当番医として初めて診察する患者様がいる中で、バイタルデータの推移をタブレット端末で場所を選ばずに確認できる点が最大のメリットです。家族構成やケア状況なども把握できるので、適切な診療と心の通ったケアが可能になり、患者様とご家族へ寄り添った言葉がけができるようになります。また、連携するスタッフ皆で情報を共有することで、患者様の療養生活をより効果的にサポートすることができます」と田中氏は話す。

 札幌ひばりが丘病院の髙橋氏は、地域包括ケアにおいては医療だけでなく介護も含めた多施設・多職種の人々が、会合などを通じて「顔の見える関係」をつくることと、効率的なコミュケーションツールとしてICTが重要だと指摘する。

 「多職種チームとして患者情報を共有し、コミュニケーションを行う上で、バイタルリンクは有効なツールです。今後は薬剤師やケアマネジャーの方々にも利用いただくことで、さらに質の高いケアの提供を目指していきます」と髙橋氏は締めくくった。

 バイタルリンクは医療、看護、介護の枠を超えた地域包括ケアシステムの構築を後押ししていく。

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