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多職種連携情報共有システム
「バイタルリンク」

CASE STUDY
公益社団法人 昭島市医師会
社会福祉法人 同胞互助会 愛全診療所
医療法人社団 潮友会 うしお病院
大田病院
医療法人社団 竹口病院

主治医とケアマネジャーの関係強化で最適なケアプラン作成に寄与する
「バイタルリンク」

東京都昭島市医師会は、「在宅医療・介護連携推進事業」の一環として、帝人ファーマが販売する多職種連携情報共有システム「バイタルリンク」を採用した。医療機関を中心とした医療・介護連携チームが、2017年2月より運用を行っている。その1つ、同胞互助会 愛全診療所所長と連携先のケアマネジャーに運用成果を聞いた。

セキュリティとサポート体制を昭島市医師会が評価

 2015年度から進められている介護保険における地域支援事業「在宅医療・介護連携推進事業」。すべての市町村で実施に移される2018年4月を控え、各自治体が体制づくりに追われている。原則として、実施すべき8つの事業項目の1つである「在宅医療・介護サービス等の情報の共有支援」でICT活用が各地で進められている。

昭島市医師会会長の八尾雅章(右)と
昭島市医師会事務長の宮直子氏(左)

 東京都昭島市は、ICTツールを活用した在宅医療・介護サービスの情報共有を体制づくりの事業の中核と位置づけ、昭島市医師会が市役所と協業して推進している。「担い手である地域の多職種のつながりが希薄だったのが実情。ICTツールの導入検討によって、顔が見える関係を築くきっかけになりました」(昭島市医師会会長 八尾雅章氏)。

 その昭島市医師会が採用したICTツールが、「バイタルリンク」だ。機能とサポート体制を検討した結果、バイタルリンクが採用された理由は、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応するセキュリティシステムを持つことと、帝人ファーマのサポートの下に運用を開始できることだった。「アクセス端末の電子証明書とID/パスワードによる2要素認証や暗号化方式(SSL/TLS1.2)など、セキュリティ面に安心感がありました」(八尾氏)と説明する。

 同医師会では4医療機関を中心に居宅介護支援事業所や介護サービス事業者などが、対象患者を限定的に抽出し、2017年2月から実証運用を開始した。「多職種の方々がかかわる特定の患者さんを抽出し、個々のケースを対象に利用してみて、有用性を評価しながら運用し始めました」(同医師会事務長宮直子氏)。

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外来患者への適用、最適なケアプラン作成に寄与

 運用を開始した4医療機関の1つ、愛全診療所所長の蓮村友樹久氏は、外来患者にバイタルリンクを利用している。付き添いの下に通院可能な要介護の高齢患者で、体調の急変が起こりやすく治療観察が必要な人が対象だ。
 「患者によっては、月1~2回の外来受診に訪れないこともあります。バイタルリンクを利用するようになり、ケアマネジャー、訪問リハビリの理学療法士、デイサービスやショートステイの介護職の書き込みや写真によって患者さんの経過を逐一知ることができ、症状の急変に関する報告によって増悪への対応が迅速にできることもあります」(蓮村氏)。
 蓮村氏は患者・利用者の表情や容体を写真やコメントで頻繁に確認でき、「遠隔で診療しているようなイメージ」と言い、バイタルリンクが外来患者の利用でも有用であることを実証した。

医師や訪問看護師などが入力した患者のバイタルデータは一元管理され、多職種間で経過を共有することができる。
医師や訪問看護師などが入力した患者のバイタルデータは一元管理され、多職種間で経過を共有することができる。
連絡帳機能では、多職種スタッフが気づきを入力したり、写真を共有したりして、医療・介護チームのコミュニケーションを実現する。
連絡帳機能では、多職種スタッフが気づきを入力したり、写真を共有したりして、医療・介護チームのコミュニケーションを実現する。

 また「バイタルリンクはケアプランを話し合うサービス担当者会議でも有効だ」と話す。外来診療が中心の同氏は、担当者会議に出席できないことが多い。そこで同氏は意見をバイタルリンクに詳細に書き込むようにしている。会議ではその意見を参考にケアマネジャーやサービス提供事業者の担当者が議論し、その内容を主治医にバイタルリンクでフィードバックする。「事前に主治医の意見を聴取していましたが、担当者から集約した会議での意見を返すことは、なかなかできませんでした。バイタルリンクでそれが可能になり、主治医の意見も多職種全員により詳しく伝わるようになりました」(居宅介護支援センター愛全園ケアマネジャー 羽村圭子氏)という。担当者会議時だけでなく、医師の意見を求めるとき従来の電話と異なり、「気兼ねなく、いつでも医療的な見地からの意見を適宜伺うことができるようになりました」(羽村氏)とし、ハードルが高かった医師とのコミュニケーションが改善された。また「医師とのコミュニケーションだけでなく、利用者に関わる多職種のやり取りがみえるのでケアの全体像を把握できるようになりました」(羽村氏)。その結果、最適なケアプラン作成にもつながっていると実感しているという。

愛全診療所所長の蓮村友樹久氏(右)、昭島市西部地域包括支援センター愛全園 主任介護支援専門員の和田光弘氏(左)、居宅介護支援センター愛全園 ケアマネジャーの羽村圭子氏(中央)。
愛全診療所所長の蓮村友樹久氏(右)、
昭島市西部地域包括支援センター愛全園 主任介護支援専門員の和田光弘氏(左)、
居宅介護支援センター愛全園 ケアマネジャーの羽村圭子氏(中央)。

 こうした医師と介護職のコミュニケーションは良好な関係づくりとともに、バイタルリンクを介した蓮村氏による検査データや所見のわかりやすい説明などによって、スタッフの教育ツールにもなり得るという。「多職種スタッフは、医師の右腕になってくれる存在。一定の知見を全員で共有できるようになれば、ケアの質向上につながります。実際に情報連携がよくなったおかげで、患者の急変に関する情報が以前より早く把握できていると実感しています。先日、実際に病状が安定しない患者と家族が、『バイタルリンクを使って、蓮村先生や羽村さんに見守っていただきありがとうございます』と御礼を言うためだけに診療所にきてくれました」(蓮村氏)。

 地域包括支援センター愛全園の主任介護支援専門員 和田光弘氏は、バイタルリンクが「ケアマネ連絡会や研修会などの連絡通知、バーチャル会議などにも利用できるようになれば、地域包括としても便利なツールになります」と展望する。
 昭島市医師会は、運用を行っている施設の活用実績を積み上げ、「より多くの医療機関、介護事業者が参画するよう拡大を図っていきたい」(八尾氏)と話す。

 
バイタルリンクは、主治医とケアマネのコミュニケーションを活性化し、綿密な情報交換・共有によって最適なケアプラン作成に寄与している。
バイタルリンクは、主治医とケアマネのコミュニケーションを活性化し、綿密な情報交換・共有によって最適なケアプラン作成に寄与している。
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